高齢者はさまざまな疾患を抱えている人が多く、疾患によって通常の在宅支援とは異なる対応が必要なケースもあります。たとえば、神経難病であれば、その多くが進行性で有効な治療法が少なく、次第に身体機能に支障をきたします。病気の経過は長期となり、経過中に胃ろうの造設や人工呼吸器の装着が必要になる状態になることもあるのです。家族や本人が大きな選択をする時期が訪れるのです。
医療依存度の高い状態で在宅に移行するためには、退院の調整について病院側とケアマネージャーが意見交換や情報を共有しながら進めていく必要があります。具体的に言うと、人工呼吸器を装着した利用者の支援では、まず、在宅療養の希望の意志確認が行われます。介護力の評価と、家族の協力度合いも把握することが大事です。
また、かかりつけ医や訪問看護ステーション、調剤薬局など、在宅医療機関と連携をするために担当者とケアマネージャーが連絡を取り、退院直後からサービスが利用できるように整えることが重要です。在宅の場合、連絡ノートを活用してチームメンバー間で共有したい情報を記録するとスムーズでしょう。
もし、自分がケアマネージャーだったとして、人工呼吸器を使用している利用者さんと関わる選択を迫られた時、躊躇してしまうこともあるかもしれません。その場合は、訪問看護師などの在宅医療職に機器の取り扱いについての指導の協力をお願いしながら、必要なサービスを提供していきます。辛い症状を和らげるために、思いつく限りの様々な機関とのパイプ役となる重要な役割を担うのです。