認知症を患っている人の行動や思考は、周囲の人には理解しづらいこともたくさんあります。ケアマネージャーの仕事を行う際にも、認知症の人は対応が難しく、特に介護拒否を起こす可能性もあるため、担当者として名乗りを上げる人が少ないのが問題点として挙げられます。利用者さんのためになると思ってヘルパーやデイサービスの利用をすすめても、自分で出来ると拒否されることが少なくありません。
アルツハイマー型認知症の場合、診断が出る数年前から認知機能が衰えてきます。初期から中期の場合、能力の認識低下が介護拒否の主な要因となることもあります。一方で、後期の場合は、理解力の低下から、行われようとしている介護の意味や意図が理解できないことが要因で、サービスの利用を拒否するのです。
しかし、必要な処置が行えなかったり、入浴や掃除などの清潔保持ができなかったりと、結果的に本人の生活の質が損なわれることにつながるので、適切な対応をすることが大切です。
問題を解決するためには、利用者さんやその家族に、認知症は脳障害が関係しているということを理解してもらうことが大切でしょう。アルツハイマー型認知症は、脳の萎縮により意識の低下が強く見られると報告されているからです。もし状況の認識ができないことが介護拒否につながっているのであれば、情報提供の方法を工夫する必要があります。
初期から中期であれば、受け入れやすいサービスから提供を始めるとスムーズです。できないことを助けるサービスより、リハビリ等で機能維持と向上するサービスなどのほうが受け入れてもらいやすいので、そこを入り口にすると良いでしょう。